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小川欣二-3 「露草」 正面 [楽・京]

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 小川欣二(1926-)の「露草」茶碗です。絵は片側だけなので、そこを正面としています。ここを正面とすると、高台脇にある窯印は背面側に来ます。

 あー、季節が合っていませんが、ご容赦下さい。(笑) このブログでは、私の抹茶茶碗の実際の使用ローテーションの順番に合わせて記事にしています。

 やはり小川欣二は同じ手の作品を幾つも焼く作家さんのようで、この「露草」もネットオークションで年に1回は出品されているのを見るような気がします。希少性がそれほどないだけに、ネットオークション上での中古の落札価格が手頃で、買いやすいのは良い事です。

 この「露草」は、やや小振りな茶碗で、水色の地に紺色の露草の絵が描かれています。そして、後日アップしますが、見込みは綺麗な白色となっていて、この青と白の組み合わせが私の好きな配色なので気に入っています。

 フォルムは、立ちの強い碗形に近い形で、乱れは少なく、轆轤目が綺麗に残っています。一応箱にも茶碗と書いてあるので、そのように使うのが本来ではありますが、このサイズ&フォルムであれば、向付として使っても良さそうです。また、フォルムとしては一般的な煎茶碗に近いので、それで使っても良いかも知れませんが、煎茶碗にしては少し大きいように思います。

つづく












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林亮次-3 志野 高台と掻き銘 [志野]

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 林亮次の三つ目の志野茶碗の高台と掻き銘です。写真では、茶碗正面を上に持って来ています。

 高台は削り出しではなく、多分貼付けだと思われます。薄く幅のある輪っかを、滑らかに成形した底に貼り付けています。ですから、高台の高さとしては、かなり低めです。土の見える部分は全体にペタンと成形されていて、毛羽立たせてはいません。また、高台内も兜巾はなく、なだらかで自然な曲面になっています。こうした造形も、まるっとした茶碗全体の雰囲気にマッチしていると思います。

 掻き銘は、大小二つの丸い窪みです。元は「亮」という文字だったと思われますが、省略していって行き着いた結果が、この形になったようです。明確に「亮」と読める掻き銘から、この丸い窪み二つの形になる途中と思われる、かなりラフに省略された掻き銘も見た事があります。ただ、夫々の掻き銘の使用時期が明確ではないので、もしかしたら複数の掻き銘が使い分けられていた可能性もあります。

 という事で、林亮次の志野茶碗の三つ目でした。まるっとした形が、ちょっとカワイイ、使いやすい茶碗です。

おわり












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林亮次-3 志野 見込み [志野]

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 林亮次の三つ目の志野茶碗の見込みです。写真では、茶碗正面を下に持って来ています。

 この見込みでは、全体に釉薬の厚みが均一で、釉薬による凹凸は殆どありません。また、気泡もなく、使用後の洗浄が楽で、実用的な見込みになっています。釉薬の色調は、ちょっと灰色がかっていて、やはり鼡志野っぽい雰囲気があります。ただ、底面は釉薬の色調と形状がフラットで、少々退屈かも知れません。この写真では見えていませんが、内側面のちょうど正面の対面の辺りには薄っすらと緋色が出ていて、正面から覗き込むと、底面とはちょっと違った景色を楽しめます。

 茶溜は割りと標準的なサイズですが、それほどカチッとした造形にはなっておらず、その辺は茶碗の全体的な造形の雰囲気とマッチしています。

 口縁の作りには変化があります。一番薄い作りになっているのは、写真で言えば11時辺りの位置です。そこを飲み口にするのも悪くないのですが、外側に向かって傾斜が付けられているのは2時から3時辺りの位置で、そこの方が飲み口としては適当だろうと思います。この位置は、正面から見て右90°の位置になりますから、茶碗を回してから口を付ける茶道の作法には合わせやすい位置です。

つづく












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林亮次-3 志野 背面と両側面 [志野]

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 林亮次の三つ目の志野茶碗を各方向から写しています。一枚目が背面で、二枚目が正面向かって左側面、三枚目が右側面(掻き銘側)です。

 背面では、緋色のムラが最もダイナミックに出ていて、アグレッシブな景色になっています。左側面には3本目の縦線があって、変化のある景色を作っています。一方、左側面では、正面や背面の景色が両脇に見えるので補ってはいますが、緋色のムラの出方も地味で、ちょっと静かな景色です。こうして全体的に景色の統一感がありながらも、夫々の面に個性があって、見ていて飽きません。

 釉薬には全体に細かい気泡が入っています。そして、緋色が強い部分は艶なし、白い部分は艶ありの表面になっていて、それらがランダムに表面を覆い、独特の雰囲気を醸し出しています。イイ感じです。

つづく












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林亮次-3 志野 正面 [志野]

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 岐阜県土岐市にある荘山窯の三代目・林亮次(1940-)の志野茶碗です。林亮次の茶碗は、これで三つ目です。写真では、最もそれらしい部分を正面として写しています。ここを正面とすると、掻き銘は向かって右のやや手前、2時位置くらいに来ます。

 こういうのを性に合うと言うのでしょうか、林亮次の志野茶碗には不思議と心惹かれる作品が多いです。これも一目見てピンと来て、思わずネットオークションで落札しました。

 端反りの口縁から腰に向かって少し広がるボテッとした造形は、ちょっとカワイイ感じに仕上がっています。茶碗直径も11cmを切っていて、大きさ的にもカワイイ感じです。

 鬼板で3本(正面に2本、向かって左側面に1本)の縦線が描かれていますが、それ以外は全体にオレンジ色の緋色がムラムラと出ていて、フォルムと合わせて、ちょっとミカンのような見た目です。写真はかなり明るく写したので分かり難いですが、緋色の出ていない白い部分は、ちょっと灰色っぽい発色になっていて、鼡志野のような雰囲気もあります。

 3本の縦線は、多分何の意味もないのだろうと思います。作為なく入れられた線は、自然な乱れがあって、ムラムラした背景と良くマッチしています。釉薬の厚みがそれ程ないので、あまり立体感のない釉景ではありますが、この縦線がアクセントになって、退屈さがありません。

つづく












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