玉置保夫-2 絵志野茶碗 正面 [志野]
岐阜県多治見市にある玉山窯の四代目・玉置保夫(1941-)による絵志野茶碗です。同氏の茶碗を紹介するのは二つ目となります。写真では、私が気に入っている場所を正面としていますが、ここを正面とすると、掻き銘は正面の高台脇に来ます。
この茶碗の箱書きに「絵志野茶碗」と書かれていますし、確かに茶碗正面には鉄絵が描かれているのですが、その「絵」は横に一本の線が入っているだけなので、これを「絵」と呼ぶべきかどうか多少疑問ではあります。けれども、何かを写し描いた「絵」よりも、何だか分からない模様のような「絵」の方が私の好みではありますので、この茶碗を何と呼ぶべきかについては大した問題ではないと思っています。
乱れのある半筒のシルエットに、やや端反りの口縁。そこへ気泡や縮れのある分厚い長石釉がかかっていて、実に志野らしい美しい茶碗です。正面にある鉄絵は、乱れた横一の線で、霧に霞んだ山々の遠景のようでもあり、はたまた単なる模様のようでもあり、見る人によって解釈は色々だと思いますが、柔らかな釉景と相まって、実に味わい深い景色を作り出しています。
つづく
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