谷本洋-1 伊賀茶碗 背面と両側面 [炻器]
谷本洋の伊賀茶碗を各方向から写しています。上の写真が背面で、二枚目が正面向かって左側面(掻き銘側)、三枚目が右側面です。
背面では自然釉のかかり方が少なく、焼けた土が良く見えます。また、箆の跡が縦に入っていますが、これは正面の三本の彫りと対称になっています。例えば色絵磁器とかでは、正面に大きな絵を描き、背面には控えめな絵を入れますが、それと同じ装飾手法と言えます。
左右の側面では、自然釉が良くかかった正面と余りかかっていない背面との間にあって、自然釉のグラデーションになっています。この辺の雰囲気は、なかなか味わい深いと感じます。
造形としては、胴の全周に亘って横方向に段々が付いていますが、線としてはかなり波打っていますので、轆轤目ではなく削り出された造形であるようです。けれども、人為的に削り出した造形である割りには乱れが多く、作為を余り感じさせません。こういう作為を感じさせない乱れのある造形が、私にとっては伊賀焼の美しさの醍醐味だと思っています。
つづく
コメント 0