安藤日出武-2 志野 正面 [志野]
岐阜県多治見市の仙太郎窯の陶工・安藤日出武（1938-）の志野茶碗です。当ブログで取り上げる同氏の志野茶碗としては二つ目となります。写真では、向かって左90°の位置に掻き銘を持って来て、この向きを正面としています。
前に投稿した一つ目の作品では、緋色の割合が低く、全体に白っぽい仕上がりになっていましたが、今回の作品では橙色に近い緋色が良く出ていて、前回よりも少し元気のある茶碗になっています。
フォルムは、少し腰の張った半筒で、どっしりと安定感のある形です。形に適度に乱れがあるのもイイ感じです。かかっている長石釉は、元々荒い粒子だったのか、それとも完全に溶け切らない程度に焼いているのか分かりませんが、白い粒々が残っているようで、表面に細かい凹凸があり、適度な艶消し仕上げになっています。長石釉の艶のない白い表面仕上げは、私の一番好きな釉景です。
また、その分厚くかけられた長石釉が流れ、気泡や指跡等と共に、表面に立体的で不規則な動きをもたらしているのも魅力的です。地の器そのものに加え、分厚い釉薬によっても立体的で不規則な美しい景色を作り出せるのは、志野焼の面白さの大きな要素の一つだと思います。
つづく
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