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はじめに その2 [茶の湯雑感]

林亮次01_01.jpg 抹茶茶碗を集めるようになって、物だけでなく知識や情報も欲しいので、書店やネット上を色々と徘徊しておりますと、気付く事がありました。

 それは、抹茶茶碗についての知見や情報は、茶道家による茶道視点のものか、プロ or アマ問わず陶芸家による製作者視点のものか、或いは骨董商や美術商による販売者視点のものか、この三つの何れかに属するものが殆どだという事です。茶道家でない一般ユーザーによる情報発信は、殆ど散発的にしか見られず、それなりに纏まったものが見つけられません。もしかしたら茶道家ではない一般ユーザーというのが、抹茶の世界には殆どいないのかも知れないのですが、この状況は私にとっては非常に物足りません。

 茶道具を売っているお店に初めて行って最初に店員さんに聞かれるのは、
「茶道をなさっていらっしゃるんですか?」
という質問です。
 ・・・茶道をやってなきゃ抹茶を楽しんじゃいけないのかよ・・・、と言いたくもなりますが、実際、何かと決まり事の多い茶道の存在が、庶民から抹茶の楽しみを遠ざけている要因の一つにもなっているとは感じます。もちろん、抹茶その物の価格が高いというのも大きな要因ではありますが。
 ですから、茶道の視点に拘らずに抹茶茶碗の魅力に嵌っていくのも、それなりに意義があるのではないかと思うようになりました。

 茶碗製作者視点の情報は、茶碗ファンとしては大変に興味深いのではありますが、必ずしも自分の好きな陶芸家が積極的に情報発信しているとは限りませんし、一人の陶芸家の作品全てを無条件に気に入るとは限りません。また、やはり何処まで行っても製作者の視点とユーザーの視点というのは、対象についての見方は一致しないものです。
 ですから、純粋なユーザー視点の纏まった情報発信というのも、一人のファンとしては欲しい所です。

 恐らく質と量で最も頼りになる情報源は、広く品物を扱う骨董商や美術商からのものです。大変勉強になります。ただ、彼らの情報は「販売価格」という世間一般の評価基準(或いは評価結果)に基づいたものであるので、必ずしも一人のユーザー個人の評価とは一致しません。また、販売というシチュエーションでの台詞(例えば販売サイトでの解説文とか)は、売らんがための美辞麗句が並ぶ事が多いですし、飽くまで世間の評価結果が基準ですから、これから世間の評価を形作っていく元とはなりません。或いは、「価格」が基準となるだけに、どうしてもお金をより多く出せる人=富裕層の好みに寄り添いがちになります。
 ですから、売り手側の情報発信だけでは、どうしても片手落ちだと感じます。

 そういう訳で、売り手でも作り手でもなく、且つ茶道に縛られない一般庶民ユーザーの視点で、抹茶茶碗を集中的に扱う情報発信が何処かにないかと、未だに探しているのですが、どうもなかなか巡り会いません。

 ・・・だったら自分でやるか・・・。そう思うようになったのが、このブログを始めた理由です。

(まだ)つづく

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