坂田泥華-1 萩茶碗 正面 [萩]
山口県長門市深川にある坂田泥華窯の十三代目・坂田泥華(1915-2010)の萩茶碗です。写真では、高台脇の窯印を向かって左90°の位置に持って来て、この向きを正面としています。
深川萩の窯元については、これまで新庄助右衛門窯・坂倉新兵衛窯・田原陶兵衛窯と取り上げてきましたが、今回の坂田泥華窯でほぼコンプリートという事になります。「ほぼ」というのは、深川にあるもう一つの窯元・坂倉善右衛門窯を深川萩にカウントすべきかどうかが微妙だからです。坂倉善右衛門窯は当代の祖父の時代に一度廃業しており、当代が平成になって復活させた窯元です。しかも、当代の作品はかなり現代的で、且つ茶陶の類を多くは作っていません。ですから伝統的なニュアンスの強い「深川萩」という言葉に少しフィットしない窯元のように私は感じています。
まあ、とにかく明治以前の昔から連綿と茶陶を作り続けてきた深川萩の窯元作品は、今回の坂田泥華の茶碗で一応揃った事になります。
十三代・坂田泥華の人物ついてはウィキペディアにも記事がありますので、そちらを参照していただくとして、とにかくこの作品を見て行きましょう。
どことなくフワッとしたフォルムの碗形の姿は、インパクトがある訳ではありませんが、リラックスして使えそうな馴染みやすさがあります。釉薬に縮れはないものの、その流れや化粧土のかかり方、或いは砂粒、気泡といった物がランダムに現れ、作為のない自然な美しさを湛えています。
十三代・坂田泥華と言えば、「泥華井戸」とも呼ばれる独特の井戸茶碗が特に有名だと聞きます。この茶碗はそれではないものの、「泥華井戸」にあるとされる温かみのある施釉は、この茶碗にも施されています。温かい美しさのある茶碗です。
つづく
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