新庄寒山ー4 萩焼茶碗 正面 [萩]
十三代・新庄寒山(?-1968?)の萩焼茶碗です。十三代・新庄寒山の茶碗を取り上げるのは、これで四つ目です。写真では、切り高台の切れ目を意識しつつ、収まりの良い場所に窯印を持って来て、この向きを正面としています。高台脇の窯印は、向かって右90°の位置に来ます。
全体のシルエットは、平茶碗とまでは行かないものの、かなり開いた碗形です。「朝顔」形と呼ぶ場合もあるようです。形の乱れは少ないですが、口縁から胴の中程までの轆轤目と、そこから下の箆での削り跡の対比が面白い景色を作っています。陶土には非常に多くの砂粒が混ざっており、削り跡の部分では、その砂粒が引き摺られた凸凹が多く見られます。この砂粒による凸凹は、茶碗を手に取った際にチクチクと手に当たり、その刺激が私には何とも心地良く感じられます。
また、この茶碗の釉景も少し変わっています。化粧土は高台脇まで掛けられていますが、白釉は口縁からその直下までしか掛けられていません。こういうパターンもちょっと珍しいと思います。
十三代・新庄寒山という人は、中古市場に出される作品群を見る限りに於いては、余り冒険的な作品は作っていないという認識だったのですが、この茶碗は特にそのディティールに於いて随分と大胆な造りになっています。もう既に三つも新庄寒山の茶碗を持っているにも関わらずこの茶碗を買い足したのは、予想外の大胆さが興味を引いたからです。
つづく
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