田原陶兵衛ー1 萩茶碗 背面と両側面 [萩]
十二代・田原陶兵衛の萩茶碗を各方向から写しています。上の写真が背面で、二枚目が正面向かって左側面(窯印側)、三枚面が右側面です。
背面の釉景は、白み始めた早朝の西の空、遠くに雪を少し被った山々が見える・・・、そんな情景です。左側面では、その早朝の景色がいよいよ日の出間近になって、かなり明るくなってきた様子。また、右側面では、明るくなり始めた空に、その夜最後の流星が流れて行く様子・・・、そんなような景色に見えます。寒色系の地と乳白色の流れる釉薬が、淡いコントラストの中で非常に豊かな景色を形作っています。とても美しい茶碗です。
このように、この茶碗では作者の意図とは別に、偶然の結果として自然の中にある情景を思い起こさせる釉景になっている訳です。こういった所に、人の意志を越えた自然の偶然性や不規則性の面白さがあり、そして、その自然の偶然性や不規則性が、人が意図して作った茶碗という規則的な形の中に溶け込んでいる景色に、美しさと癒しを私は感じます。
つづく
コメント 0