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中島正雄-1 志野 正面 [志野]

中島正雄01_01
 岐阜県土岐市・雅山窯の中島正雄(1921-2014)の志野茶碗です。写真では、鉄絵の密度が最も高い所を正面としています。この向きで掻き銘は背面側に来ます。

 中島正雄という方は、美濃焼伝統工芸品協同組合初代理事長とか美濃陶芸協会副会長とか重要な役職に就かれ、また多くの表彰を受け、土岐市無形文化財保持者に認定される等、非常に高い評価を受けていた人です。ただ、基本的に美濃焼の陶工でありながら、土岐市無形文化財保持者の認定では青磁・高麗青磁技法での認定であった事もあり、氏が製作した志野や瀬戸黒の中古価格はかなり買いやすい価格で市場に出回っています。この志野茶碗も、ネットオークションで安く買えました。

 高くなかったとは言え、この茶碗は典型的な志野の茶碗として、しっかりと作り込まれているのが分かります。志野らしい大振りな半筒のフォルムに、トロッと良く溶けた長石釉がかかり、釉薬の下には簡素な鉄絵が描かれています。鉄絵は山の風景のようにも見えるのですが、残念なのは釉薬の上に殆ど染み出しておらず、パッと見で何も描かれていないように見える事です。

 釉薬に開いた気泡とか、釉薬の下の鉄絵からランダムに染み出た緋色、僅かに乱れが見られるフォルムに、不規則に残された土見せ等、志野焼の教科書のような作品です。

つづく












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