山本雄一-1 備前茶碗 正面 [炻器]
備前焼の山本雄一(1935-)の備前茶碗です。写真では、向かって左90°の位置に掻き銘を持って来て、この向きを正面としています。
備前焼は「炻器」とか「焼き締め」とかと呼ばれるカテゴリーにあり、陶器のように土を整形した物を、磁器のように水が浸透しないほど硬く焼き上げるので、陶器と磁器の間にある焼物と言えます。ですから、実用上は水の浸透を防ぐための釉薬は不要なのですが、賞玩する景色を作ったり、飲み口や茶筅摺り辺りの滑らかさを出すために施釉される場合があります。
この茶碗の場合、自然釉も含めて釉薬は全く掛かっておらず、焼け焦げた土の味を全面に渡って楽しむというような仕上がりになっています。土と言っても、表面に艶が出るくらい硬く焼き締められていて、且つ陶土に余り大きな砂粒は混ざっていないので、イライラしたような手触りや口当たりにはなっていません。備前焼の基本的な姿だと思います。
フォルムは、ほぼ半筒で乱れは少なく、轆轤目が浅く綺麗に出ています。こういう造りも、実用性重視で質実剛健な備前焼らしい所だと思います。ただ、それだけに形には楽しむ要素が少なく感じます。この茶碗で一番楽しめるのは、ムラのある焦げ方をした土の景色やテクスチャーだと思います。
つづく
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