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野坂康起-1 萩焼茶碗 正面 [萩]

野坂康起01_01
 萩焼作家・野坂康起(1931-)の萩焼茶碗です。写真では、高台脇にある窯印を向かって左90°の位置に持って来て、この向きを正面としています。

 野坂康起(旧姓小田康起)という作家さんは三重県の生まれで、人間国宝・荒川豊蔵に師事する等、元々は美濃焼系の陶工だったのですが、結婚して萩の野坂家(野坂江月窯)の婿養子となってからは萩焼を作るようになったそうで、現在は美濃焼等の東日本系の技術を熟知した萩焼作家として高く評価され、2002年に山口県指定無形文化財・萩焼保持者に指定されています。
 ただ、だからと言って、作品の一つ一つに東日本系の技術的要素を見出す事が出来るかと言われても、素人の私には分かりません。今回の茶碗にしても、確かに個性はあるとは思いますが、その個性が東日本系の技術に由来するのかどうか判断しかねます。飽くまで萩焼の範疇にある素敵な茶碗だと私は感じています。

 この茶碗は、口縁が少し広がった半筒と碗形の中間のようなシルエットに、白が際立つ釉薬がかかっています。この釉薬は、志野焼等で使われる長石釉ではなく、三輪休雪が始めた白萩で使われる白釉と思われ、粘度が低く、良く流れています。白萩では白釉を故意に強く縮れさせる事が多いですが、この茶碗では全く縮れは見られず、優しい表情になっています。

 一方、陶土にはかなりの砂粒が混ぜられており、それによるブツブツが茶碗にちょっとした厳つさをもたらしています。この厳つい陶土と優しい釉景のバランスがとても絶妙で、この茶碗を個性的な物にしています。

つづく












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