安藤日出武-3 志野 見込み [志野]
安藤日出武の三つ目の志野茶碗の見込みです。写真では、茶碗正面を下にしています。
外側に比べると見込みは少しフラットで、動きは少なくなっています。実際にお茶を入れて使う事を考えると、こういう見込みの方が使いやすいです。ただ、それでも緋色が左上に大きく出ていたり、気泡や貫入が幾つかあって、過度に単調にはなっていません。茶溜りは、あるのかないのか良く分かりません。少なくとも意識的に成型されているようには見えません。
上から見る形は乱れのある真円で、口縁の形状にも不規則な凹凸があります。飲み口は、右上２時位置くらいが最も快適です。ここは外側に向かって傾斜が作られていて、頂点が薄くなっています。他の場所は肉厚の壁面の角を丸めた程度の形状なので、口を付けた際に違和感が多少あります。志野茶碗は肉厚に作られる事が多いので、やはり少なくとも一か所は飲み口として意識的に成型する必要があるのだろうと思います。ただ、その位置については、茶道の某流派に合わせるなら右90°の位置（上から見ると３時位置）という事になるのですが、何もそんな特定の流派に媚びる必要なんてないと私は思っているので、何処に飲み口があっても気になりません。逆に、飲み口を探しながらお茶を飲むのも楽しみの一つです。
つづく
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