林亮次-4 志野茶碗 見込み [志野]
林亮次の四つ目の志野茶碗の見込みです。写真では、茶碗正面を下にしています。また下の写真では、見込みを光に対して透かして見た状態で写しています。
上から見たこの茶碗は、少し歪みのある円形で、意外と薄造りです。茶溜は何となくといった感じで成形されています。釉薬の縮れや、灰がかかったのか少々変色している部分、或いは黒く焦げたような箇所や、粗い陶土によって出来た凹凸など、他の一般的な志野とは少々趣の違う景色が印象的です。
陶土の荒さは、光に透かして見た下の写真からもお分かりいただけるかと思います。見込みの中に幾つも光が漏れている箇所がありますが、これは小石と呼べるくらい大粒の長石が埋まっている所で、長石が半透明なために光が漏れているのです。これほど荒い土で薄造りにすれば、そりゃ光も漏れるし、水も漏れます。(笑) ただし、光が漏れている箇所と水が漏れていた箇所は必ずしも一致しておらず、どうやら水が通り抜ける見えないトンネルが陶土の中にはあったようです。
地の器自体が強くガラス化する磁器の器ならあるかも知れませんが、土物の陶器の器でこれだけ自然に光が漏れる物を、私は他に見た事がありません。そういう意味で、これは非常に稀有な茶碗だと思います。
つづく
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