加藤豊久-2 志野 背面と両側面 [志野]
加藤豊久の志野茶碗を各方向から写しています。上の写真が背面、二枚目が正面向かって左側面、下の写真が右側面です。
各面共に正面と違って、胴の上半分で釉薬が厚く、下半分で薄くなっています。このパターンは特に右側面で顕著で、そこの下半分では緋色が強めに出て、地のゴツゴツした造形も良く見えます。
前にご紹介した一個目の豊久作品では、長石釉の分厚い流れは縦方向にありましたが、今回の作品では横方向に分厚く流しています。そういう違いはありますが、大柄でゴツゴツしていて、腰のしっかりした造形や、釉薬の厚みを大胆に加減する事によってダイナミックな景色を作り出している所など、やはり二つとも同じ作者が作った物だと納得出来ます。
それと、この茶碗を見ていて感じるのは、大柄でゴツゴツした造形と、全体的に緋色が少なく白っぽい色合いとの組み合わせというのは、何か独特の雰囲気を醸し出しているという事です。白という色は、どちらかと言えば優しく静かなイメージがありますが、それとゴツゴツした造形とか力強く波打つ釉薬の流れとかが、ある意味ミスマッチな組み合わせになっていて、非常に面白い景色を作り出しています。こういう面白さは、白い長石釉を分厚く施す志野焼に特有のものだと思います。
つづく
2019-11-10 12:00
nice!(15)
コメント(0)
コメント 0