加藤豊久-2 志野 正面 [志野]
加藤豊久(1962-)の二つ目の志野茶碗をご紹介します。今回は私が一番気に入っている面を正面として、この茶碗を撮影しています。ここを正面とすると、高台脇の掻き銘は向かって左奥の10時半くらいの位置に来て、最も快適に飲める飲み口は向かって右奥の1時半くらいの位置に来ます。
この茶碗に付属していた栞には、平成3年(1991年)の履歴までが書かれています。ですから、この茶碗はそれ以降、且つ「豊久」を「土代久」に改名する2004年までの間に製作されたという事が分かります。
加藤豊久の前回の茶碗と同様に、これも最大直径が14cmにもなろうかという大振りな茶碗です。ゴツゴツした地に分厚い長石釉がタップリと流れたり縮れたりして、ダイナミックな景色を作り出している所とかも、前回の茶碗と同じです。一方、この茶碗では全体的に緋色が薄く、白っぽいイメージに仕上がっており、それが前回の茶碗と大きく異なる部分です。
口縁部にはなだらかな凹凸がありますが、五山になっている訳ではなく、よりナチュラルな乱れ具合です。また、上でも触れましたが、掻き銘の位置や飲み口の位置なども、特定茶道の所作に合わせて作ってある訳ではなさそうで、そういう所も自然で良いです。
つづく
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