新庄寒山-1 萩焼茶碗 正面 [萩]
山口県長門市深川湯本三之瀬に「深川焼」或は「三ノ瀬焼」、「深川萩」等と呼ばれる萩焼の一つの流れがあり、現在は四つの窯元が萩焼を作っています。その四つの窯元の一つ「新庄助右衛門窯」の十三代目・新庄寒山(?-1968?)の萩焼茶碗が上の写真です。写真では窯印を向かって左90°の位置にして写しています。尚、新庄寒山の生没年に関しては、明確な資料を見つけられなかったので、十四代(当代)・新庄貞嗣(1950-)の経歴等から推測しています。
この茶碗は写真の通り、柔らかい曲線を描く碗形のシルエットに、薄く化粧土と釉薬がかかり、縮れはなく、非常に上品で優しく美しい姿をしています。色調も明るい薄橙(肌色)で、微妙に赤味を帯びた所もあったりして、まるで薄いナチュラルメイクをした美人さんを見ているようです。ちょっとした焦げも、美人さんに付き物の黒子のようですし、細かい砂粒混じりの土も、不自然にツルツルした肌ではないナチュラルな人肌のようです。
一方、高台は竹の節高台になっていて、優しいだけではない芯の強さを示すように、ちょっとしたアクセントになっています。
この茶碗を初めて見た時に私は、
「うわー、美人さんだなぁ」
と感動して、すぐに購入を決めました。幸い新庄寒山の作品は、中古の出物は多くないですが、歴史ある深川萩の四つの窯元の中では最も買いやすい価格で出回っています。それも購入の手助けになりました。
つづく
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