SSブログ

兼田佳炎-1 萩茶碗 背面 [萩]

兼田佳炎01_02
 兼田佳炎作・萩茶碗の背面です。

 前回の正面に比べると、こちらの背面は釉薬の縮れが殆どありません。釉薬の厚みも薄く、土の色や砂粒がかなり透けて見えます。石英の砂粒が透けて見えるのは好きな景色なのですが、やはり釉薬の縮れに比べると面白味は少ないです。

 山口県の萩焼には三つの系統があると言われています。萩焼の本流であり萩藩の御用窯であった「松本焼」の系統、御用窯でありながら民間への販売も許されていた「深川焼」の系統、そして言及される事は少ないですが、完全に民間の窯であった「小畑焼」の三つです。
 「小畑焼」は、江戸時代後期に藩の産業振興策により藩御用達の京商人がプロデュースして始まった民営の日用器窯でした。当初は磁器を焼き(ですから「小畑焼」は小畑地区製の磁器を指す名称となっています)、一時は中国へ輸出するほど活況を呈したようなのですが、明治から昭和初期にかけて低迷し、多くの窯が廃業、若しくは萩焼へ転向したそうです。

 兼田佳炎は、この小畑で長く窯業を営んできた兼田天龍山窯の出身で、今は勝景庵という窯を営んでいます。ですから、萩焼の家柄という意味では、松本の坂家・三輪家、深川の田原家・坂倉家・坂田家・新庄家に比べると名前に神通力がありません。けれども、萩焼の作風としては、かなりオーソドックスで分かりやすい、如何にも萩焼らしい作品が多く、しかも価格的にも非常に買いやすい設定になっていて、萩焼への入口としては絶好の作家だと私は思っています。そして、私が最初の萩焼として兼田佳炎の茶碗を買えた事は、偶然だったとは言え、幸運だったと今は感じています。

つづく








nice!(14)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 14

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0