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林亮次-1 志野 正面と背面 [志野]

林亮次01_08
林亮次01_09
 初めて購入した作家物の茶碗=林亮次の志野の正面(上写真)と背面(下写真)です。

 上写真の位置を正面とすると、向かって右90°の高台脇に掻き名が来ます。白い部分と緋色の部分のバランス、そして模様の見え方からして、ここを正面とするのが一番適当だと思いますし、作者の意図もそうでしょう。

 白い長石釉が全体に厚く掛かり、白いままの部分と緋色が入った部分が微妙なグラデーションを伴いつつ大きく分かれています。これが掛け分けとは似て非なる雰囲気を作っていて面白いです。白い部分と緋色の部分は、両方とも艶消しのマットな色調になっていて、ちょっと重厚な景色です。釉薬の流れ具合もイイ感じです。鉄絵は訳の分からない模様になっていますが、個人的には人間的意味をなさないこういう模様の方が好きですし、それが一個だけ控え目に入っているのも好感が持てます。
 また、この茶碗では志野特有の釉薬の気泡の他に、下から何か吹き出て固まったニキビのような穴も無数に開いており、それが独特の荒々しい景色を作っています。

 一方、下写真の背面は、白と緋色のグラデーションやマットな色調、釉薬の流れや気泡とニキビといった景色はあるものの、鉄絵がほとんどないだけに、ちょっと単調でインパクトに欠ける景色になっています。ま、背面ですから。

 いやぁ、それにしてもイイ雰囲気です。作家の設計した意図的な部分と、製作過程や窯の中で偶然生じた不規則な部分とが見事に融合して、人の技だけではない不思議な魅力があります。こうした人の意思と自然の偶然性が混ざり合う所に、手作りの一品物の最大の魅力があるように思います。

つづく

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