SSブログ

杉浦芳樹-1 柚子黒茶碗 正面 [陶器その他]

杉浦芳樹01_01
 愛知県瀬戸市・兎月窯の杉浦芳樹(1915-1980)の柚子黒茶碗を紹介します。写真では、掻き銘を向かって左90°の位置に持って来て、この向きを正面としています。

 瀬戸で焼かれた黒い焼物という事で、これを「瀬戸黒」と呼びたい所なのですが、今「瀬戸黒」は美濃の焼物というイメージが強いですし、そもそもこれが「瀬戸黒」の手法(引き出し黒)で作られた物なのかどうかも分かりません。それに作者がわざわざ「柚子黒」と読んでいますから、一応今回の茶碗は「瀬戸黒」とは別の焼物という分類にしています。

 「柚子黒」と言うだけあって、釉調は本当に柑橘系の果物の肌のように艶と細かい凹凸があります。全体のシルエットは角がなくぽっちゃりした半筒で、自然でなだらかな歪みや凹凸もあり、本当にミカンやユズのような雰囲気があります。心の和む形だと思います。

 杉浦芳樹の「柚子黒茶碗」は、かなり多く作られたようで、ネットオークション上で頻繁に見かけますし、中古価格も随分と買いやすくなっています。確かに強いインパクトのある茶碗という訳ではないので、そうなるのも頷けますが、この「柚子黒」という釉調は兎月窯(今は息子の杉浦文泰が引き継いでいる)の独自のものですから、黒茶碗の一つのスタイルとして注目に値する一品ではないかと思います。

つづく












nice!(16)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 16

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。