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山本雄一-2 緋襷茶碗 正面 [炻器]

山本雄一02_01
 備前焼の山本雄一(1935-)の緋襷茶碗です。写真では、向かって左90°の位置に掻き銘を持って来て、この向きを正面としています。

 備前焼の一種である緋襷は、独特の見た目をしています。陶器を焼き締める際に、器どうしのくっつきを防ぐために間に藁を入れたのが緋襷の始まりだそうで、藁のアルカリ成分が陶土に含まれる鉄分と反応し赤く襷状に発色しています。また、その赤い発色を強調するため、地の部分は茶色い焼色が出ないような焼き方をされる場合が多く、更に自然釉を含めて施釉は殆どされません。で、結果的に、生焼けか素焼きかと思うような地に、オレンジの線模様が入るという、非常に個性的な外観になります。

 この製作途中の素焼きのような地の仕上がりには、私も最初はちょっと抵抗があって、自分でも所有してみようかと思うまでには少し時間がかかりました。でも見慣れてしまうと、これはこれで個性的で悪くないなと思うようになりました。

 この山本雄一の緋襷は、乱れの殆どないカチッとしたフォルムに、緋襷が主に斜め方向にランダムに入っています。ですから、フォルムに面白味がない分だけ、緋襷の美しさに心を集中できる器になっています。フォルムに乱れが少ないのは、備前焼全般の傾向ですから、そういう意味では備前焼の性格は緋襷の美しさを楽しむのに向いているとも言えるかも知れません。

つづく












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