美和隆治-1 志野茶碗 見込み [志野]
美和隆治の志野茶碗の見込みです。写真では、茶碗正面を下にしています。
上から見るこの茶碗は、少し乱れのある真円になっています。口縁は全体に分厚いのですが、3時位置辺りで外に向かって微妙に傾斜が付けられており、ここを飲み口にするのが適当だと思います。そうすれば茶碗を時計回りに90°回してから飲む茶道某流派の作法に合っています。
見込みの底にははっきりと貫入が見られます。これだけ貫入が明確なのはここだけです。多分、長年の使用によって茶渋が貫入に蓄積されて茶色になったため、ここだけ貫入が目立つようになったのだと思われます。
一方、底の茶溜りは全く目立ちません。と言うより、茶溜りを意識的には作っていないような造形です。また、気泡や緋色の発色は見込みの中には殆どなく、目立つ貫入がなければ全く退屈な景色です。
つづく