岩月竹光-1 黄瀬戸茶碗 背面と両側面 [陶器その他]
岩月竹光の黄瀬戸茶碗を各方向から写しています。上の写真が背面で、二枚目が正面向かって左側面、三枚目が右側面です。
背面には正面のメインの線彫りと対になるサブの線彫りがあります。これは花には見えないので草文という事になろうかと思います。正面にメインの絵があり、背面にサブの絵があるというパターンは、茶碗に於けるお約束です。
造形に於いてはどっちから見ても正面と同じで、且つ施釉についても同じなのですが、釉景に於いては各所に釉薬のムラがあって、何となく模様が出来ています。このランダムなムラが、不規則性による美しさを生み出していて、この茶碗の個性になっています。
つづく
ますきち|愛知県瀬戸市のゲストハウス【Vacation STAY提供】
- 場所: 愛知県瀬戸市仲切町22 ますきち
- 特色: ますきちは、明治時代の陶工・川本桝吉の邸宅を改装した宿です。昔ながらのレトロな看板の商店、
岩月竹光-1 黄瀬戸茶碗 正面 [陶器その他]
瀬戸の陶工・岩月竹光(1949-)の黄瀬戸茶碗です。写真では、メインの草花文のある箇所を正面としています。ここを正面とすると、高台内にある掻き銘は向かって左寄りに来ます。
岩月竹光は一部に織部や瀬戸黒の作品もあるようですが、ほぼ黄瀬戸専門の作家です。それだけに「これぞ黄瀬戸」と言えそうな典型的な造りでありながらも、とても味わい深い作品が多いように思います。この茶碗に於いても、整って乱れのない半筒のシルエットに、繊細な端反り、綺麗な胴紐、微妙に張った腰周り、線彫りの草花文にタンパンと、実に黄瀬戸らしい造りです。一方、細かい砂粒の混ざった陶土の上に少しくすんだ黄瀬戸釉がかかり、独特な雰囲気の油揚げ肌になっており、更に、黄瀬戸では余り見られない施釉時の指跡があるなど、個性的で味わい深い演出もあります。
何と言うか、典型的な造りの中にも個性があり、素朴さの中にも洗練が垣間見えるという、実に良く出来た黄瀬戸茶碗だと思います。
つづく
新庄寒山ー5 萩焼茶碗 高台と窯印 [萩]
十三代・新庄寒山の五つ目の萩焼茶碗の高台と窯印です。高台の写真では、茶碗正面を上にしています。
高台は少し乱れのある真円です。乱れ方について言えば、この茶碗で最も乱れのある箇所が、この高台という事になろうかと思います。高台の直径は小さい方ですが、椀形の茶碗では標準的な直径だと思います。兜巾は、余り強くは主張して来ていませんが、ちゃんと整形されています。
高台脇から畳付き、高台内までの全体に釉薬がかかっており、土見せは全くないのですが、透明釉が薄いので、砂粒混じりの陶土や少しザクザクとさせた削り跡などが良く見て取れて、退屈させない景色となっています。
窯印は「寒山」です。十三代・新庄寒山のいつもの窯印です。
という事で十三代・新庄寒山の五つ目の萩焼茶碗でした。寒色と暖色が荒々しく混じりあった発色と、乱れのない整って静かなシルエットとが絶妙のバランスで楽しませてくれる良い茶碗です。
おわり
新庄寒山ー5 萩焼茶碗 見込み [萩]
十三代・新庄寒山の五つ目の萩焼茶碗の見込みです。写真では、茶碗正面を下にしています。
上から見るこの茶碗は、整った真円形をしています。口縁は均一で薄いので、何処に口を付けて飲んでも快適です。見込みの底には二重に削り跡があるので二段の茶溜りがあるようにも見えますが、特に凹ませてあるのは内側の方なので、そこだけが茶溜りだと考えるべきでしょう。
発色に於いては、暖色と寒色、それと釉薬の溜りによる白い模様がランダムに混ざった少し荒々しい景色になっています。特に12時位置から5時位置辺りまでで青灰色の発色が強く出ていますが、この辺りは外側も青灰色が強く出ています。
この見込みに於いても、荒々しい発色と整って静かな形状が、絶妙なバランスの景色を作り出しています。
つづく
新庄寒山ー5 萩焼茶碗 背面と両側面 [萩]
十三代・新庄寒山の五つ目の萩焼茶碗を各方向から写しています。上の写真が背面で、二枚目が正面向かって左側面(窯印側)、三枚目が右側面です。
全体に青灰色が良く出た発色です。特に背面から右側面にかけてで良く出ていて、そこでは見込み側でも青灰色が強く出ていますから、焼成時にその辺りの酸素が特に少なかったのでしょう。このように焼成時の状況が想像出来る焼き上がり方をする萩焼というのは、とても興味深い焼物だと思います。
各方向から見るシルエットは、乱れが少なく、正面とほぼ同じ形です。これだけ整った形をしていると、ともすると少し退屈な見た目になりがちなのですが、寒色と暖色がムラムラとランダムに混ざった発色と、陶土に混ざった砂粒によるブツブツ感、薄っすらと残った轆轤目、それと釉薬の溜りによる白い模様等によって、全く退屈にならずに眺めていられます。むしろ形が整っているだけに、発色による荒々しさが適度に抑えられ、絶妙なバランスに収まった景色です。
つづく