新庄寒山ー5 萩焼茶碗 正面 [萩]
十三代・新庄寒山(?-1968?)の萩焼茶碗です。十三代・新庄寒山の茶碗を取り上げるのは、これで五つ目です。写真では、高台脇の窯印を向かって左90°の位置に持って来て、この向きを正面としています。
不思議と私の心に刺さる作品が多い十三代・新庄寒山ですが、寒色系の作品を持っていなかったので、これをコレクションに加えました。萩焼に於いては、焼成時に酸素を断つ焼き方≒還元焼成を行うと、青灰色に焼き上がるそうなのですが、この茶碗ではその青灰色が強く出ています。ただ、特に茶碗正面に於いては、むしろ暖色系の発色の方が強く出ており、焼成時に酸化 or 還元の状況を完全にコントロールし切ってはいなかった事が想像されます。
シルエットはオーソドックスな椀形で、砂粒混じりの陶土による適度なイライラ感と相まって、とても持ち心地の良い茶碗です。この正面では暖色系のベースに所々寒色が混じり、更に流れた釉薬の溜りによる白い模様が入り、独特の景色になっています。荒々しさと重厚感がありながらも、暴力的になり過ぎず、適度な線で収まっている所が、優しい作品の多い十三代・新庄寒山らしさではないかと思っています。
つづく
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