加藤芳比古-1 赤志野茶碗 正面 [志野]
美濃の作家・加藤芳比古(1946-)の赤志野です。写真では、私の気に入っている所を正面としています。この向きを正面とすると、高台脇の掻き銘は、向かって右奥辺りに来ます。
加藤芳比古は、鬼志野で有名な月形那比古(1923-2006)の内一番弟子であったという事で、さぞかし大胆な作風なのかと思いきや、ネット上の中古市場とかに出回っている作品を見ていると、そこまでゲロゲロ前衛的な作風ではなく、現代では比較的オーソドックスとも言える志野を作っているように見えます。
今回の赤志野茶碗についても、赤志野として大雑把に見れば「普通」の範疇で、強烈に個性的という訳ではありません。
どっしりとした器はちょっとスクエアな半筒のシルエットをしており、胴には段がついていてアクセントになっています。釉薬の流れに大きな立体感はありませんが、多く開いた気泡や縮れが志野らしい味わいを出しています。橙色に近い緋色も綺麗ですし、腰の辺りにある指跡もアクセントになっていて味わい深いです。
現代陶芸作家による赤志野茶碗として、しっかり鑑賞に堪え得る良作だと思います。
つづく
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