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坂倉新兵衛-2 萩茶碗 正面 [萩]

坂倉新兵衛02_01
 十二代・坂倉新兵衛(1881ー1960)の萩焼の茶碗です。写真では、高台脇の窯印を向かって左90°の位置に持って来て、この向きを正面としています。

 以前に十四代・坂倉新兵衛の作品を掲載しましたが、今回の十二代・新兵衛は、十四代の父という事になります。(十三代は、十四代の兄ですが、戦没したため死後に十三代を追贈されています。) で、この十二代・新兵衛という人は、明治以降に衰退していた萩焼を再び全国的に人気のある焼物として復興させた「中興の祖」の一人として知られていて、御存知の方も多いかと思います。その作品は今でも人気があって、萩焼の中では比較的高値で取引されています。

 価格が高いだけあって、当然私もなかなか買えなかったのですが、一萩焼ファンとして一つは持っておきたいと思い、頑張って少ない小遣いを貯めて買いました。勿論中古です。

 で、これを買って実際に手にしてみて思ったのは、やはり「中興の祖」と言われる人が作っただけの事はあって、味わい深い非常に素晴らしい茶碗だという事です。

 やや立ち気味の碗形のフォルムに、乱れのある轆轤目が走り、それほど整えられていないにも関わらず絶妙のバランスを保っています。表面には殆ど縮れていない透明釉だけがかけられ、全体に色むらのある土の質感が感じられます。その土は、ちょっと暗めの色をしており、砂粒も結構目立ちます。何とも言えない重厚感がありつつも、重苦しくなり過ぎない枯れた雰囲気です。

 この枯れた味わいこそが、萩焼の一番美味しい所ではないかと私は思います。このように人工的に作られた物であるにも関わらず、自然な風化を思わせる不規則性や乱れが取り込まれています。この人工と自然の混ざり具合のバランスが、癒しを感じさせる美しさを醸し出しています。
 本当に美しい茶碗です。

つづく












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