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林亮次-4 志野茶碗 正面 [志野]

林亮次04_01
 土岐の陶工・林亮次(1940-)の四つ目の志野茶碗です。写真では、高台脇の掻き銘を向かって左90°に持って来て、この向きを正面としています。

 非常に目の粗いザクザクした陶土が印象的な茶碗です。全体的に釉薬は薄くかかっており、縮れがチラホラ、緋色の出方も薄っすらとしていますので、陶土のザクザク感が一層強調されています。陶土のザクザク感は、私の好物とする所です。(笑)

 で、実はこの茶碗、使用開始当初は大変苦労しました。と言いますのも、水漏れが酷かったんです。ジワジワとかポタポタとか、そういう生易しい漏れ方ではなく、もうボタボタボターッ!と見る間に中の水が減って行くのが分かるくらい、底や側面から水漏れしたのです。とても使えた物ではありません。多分、前のオーナーはこれが原因で手放したのでしょう。この強烈な水漏れを止めるのに、私は非常に苦労しました。

 水漏れを止めるために最初に試したのは、片栗粉を溶かしたお湯に茶碗を浸けて浸み込ませ、それから乾燥させるという手法です。この方法を二ヶ月くらいかけて何度か繰り返し、漏れ方を少なくする事にある程度は成功しました。けれども完全には止まりません。しかも水漏れテストで何度か水を入れたりしている内に、再び漏れが酷くなったりします。ですから、この方法は、ジワジワ漏れる程度の水漏れは止められたのでしょうけど、この茶碗の酷い水漏れには適わなかったという事だと思います。

 次に試したのは、市販の食器用止水剤というのを使ってみる事です。使い方は片栗粉のお湯と同じく、止水剤に茶碗を浸けて浸み込ませ、それから乾燥させるという方法なのですが、これは非常に効果がありました。何度か同じ作業を繰り返すと、水漏れは完全に止まりました。その後に何度か水漏れテストをしても、再び漏れ出す事もありません。今ではこの茶碗を普通に使っています。

 この止水剤ですが、成分表示が何処にもないので、物が何だか良く分からないのですが、多分、非常にミネラル濃度の高い硬水のような物なのではないかと思っています。コンビニとかでも売っている「エビアン」等の硬水は、ある程度煮詰めた後に一滴垂らして乾燥させると、後に何かが結晶化したような白い粉が残りますが、それと同じような白い粉のような物が、水漏れ止めに成功したこの茶碗の水漏れ箇所の辺りにこびり付いているのです。しかも、ちょっとやそっとでは取れないくらい、茶碗と一体化しています。普通の飲み水にも含まれるミネラル分の結晶が、陶土の隙間を埋めて、水漏れを止めたという事なら、食器として使うのにも安心です。

 この止水剤の効果に感心した私は、他の茶碗にも日常的に使うようになりました。使った後に乾燥させた茶碗に、この止水剤を入れて浸み込ませ、それから見込み表面を拭いて再び乾燥させるという作業を、全ての茶碗に毎回施しているのです。陶器の陶土には隙間があって、そこに水が浸み込んだままになると、水カビが発生して臭くなる訳ですが、この止水剤で隙間を埋めてしまえば、水が浸み込まず、水カビも発生しないだろうという考えです。この効果を実感できるのは何年も先の話だろうとは思いますし、悪影響もあるかもしれませんが、少なくとも今の所は水漏れする茶碗はなくなりましたし、カビ臭い茶碗は一つも出ていません。

 ・・・おっと、水漏れ止めの話ばかりになってしまいました。茶碗その物の話は、また次回以降で。

つづく


使ったのはコレ



他にも
















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